
息子が小学生だった頃、シングルファーザーである私は仕事に追われる毎日を送っていました。忙しさを理由に、子どもの世話の多くを両親に任せ、私は「働いていればそれで十分だ」とどこかで思い込んでいたのかもしれません。学校のことも、行事のことも、正直ほとんど関心を持たずに過ごしていました。
そんなある年度末のことです。次期PTA会長さんから、非常に困り果てた様子で電話がかかってきました。複数ある部の中の一つで、どうしても部長を引き受けてくれる人が見つからないというのです。私は時間が取れないことを正直に伝えましたが、その部は平日の日中に集まることはほとんどなく、夜の会議が中心になるとのことでした。そこまで困っているのならと、半ばしぶしぶお引き受けすることにしました。
ところが実際には、仕事を休むことはなかったものの、私が招集する形で夜七時頃からの会議を何度も開くことになりました。忙しい月には何度も集まらざるを得ませんでした。その部では、夏休みのプール開放のスケジュール作りや監視に立つ保護者の選定、救命講習の開催、さらには学校行事や運動会でのPTA催し物の企画と準備まで、実に多くの役割を担っていました。そしてそれらの打ち合わせには、遅くまで先生方も付き合ってくださっていました。
「自分の知らないところで、こんなにも多くの人が時間を使い、子どもたちのために動いてくれていたんだ」
忙しければ忙しいほど、その思いが胸に込み上げてきました。これまで私は、ただ仕事に追われるだけで、子どもを取り巻く環境に目を向けようとしてこなかったのです。
しかし変わったのは、私の心だけではありませんでした。学校行事やイベントで児童の前に立つ私の姿を見て、息子の目がみるみるうちに変わっていったのです。平日私がお休みの日に学校から帰ってくる子供の表情が明るくなり、瞳がキラキラと輝いているのをはっきりと感じるようになりました。
その姿を見て、私は胸が締めつけられる思いでした。今までどれほど子どもの学校生活に無関心だったのか、どれほど無責任だったのかを、心から恥ずかしく感じたのです。
仕事だけが親の役目ではない。子どもの世界に目を向け、関わることこそが、何よりの支えになるのだと、この経験が教えてくれました。
